こんにちは！さんぽくんです。

信州は日本酒・ワイン・シードルなどなど魅力的なお酒がたくさん。
だけど、「お酒ってどう楽しめばいいの？」「酒屋さんってハードルが高そう」って思っている人も多いはず。

この連載コラムでは、長野県のエリアごとに、お酒の魅力と酒屋さんの楽しみ方などを酒屋さんにインタビューする形式でご紹介します！
エリアごとのお酒の歴史、観光のヒントなんかも知れちゃいます。

このコラムを読めば、酒屋さんによく人も、行ったことがない人も酒屋さんに行きたくなること間違いなしです！

フィナーレを飾る連載第4弾は、南信（伊那）エリアです。「酒文化いたや」中村修治さんにインタビューしました！
中村さんは「利き酒師」「ポムドリエゾン」でもあります。
中村さんのインタビューを4回にわたって掲載いたします。

酒も観光も「伸びしろ」十分　広がるバリエーション

――南信地方とその地域のお酒の特徴について教えてください。

長野県は面積が広く、山に隔てられてエリアが分かれます。諏訪以南の南信地方だけを見ても南北に長く標高差もあるので北の諏訪エリアと最も南の飯田エリアでは大きな温度差があります。ただ酒造りに関してはそれぞれ設備が整っているので、気温での変化はあまりないかと思います。長野県全体に言えるかもしれませんが、やはり水が豊富できれいなことも特徴です。「水道水で酒造りができる」と言える酒蔵さんもいらっしゃるほどです。

　諏訪湖から流れる天竜川沿いにJR飯田線が走っていて、そこを中心に左右を高い山で囲まれた場所が伊那谷です。その中に、伊那市、駒ヶ根市などを含む「上伊那」と、飯田市を中心とした「下伊那」があります。

　伊那谷には標高差があるので作ることができる作物も色々ありますが、まだまだ土地を生かしきれていない。ある意味とても伸びしろがある場所だと思います。観光に関してもそう。山岳観光や酒蔵巡りなど、もっと発展させられる余地があるのではないかと思っています。

諏訪エリアは諏訪大社さんを中心としてお酒を飲む古い歴史があって、酒蔵もそのために一つのエリアに集まっているのでまた少し文化が違います。国道20号沿いの諏訪市内に、全国的にも有名な「真澄」をはじめとする多くの酒蔵さんが軒を連ねています。

　飯田の近辺ですと、過去に蔵が合併して大きく一つになった経緯があります。その後小さい酒蔵がたくさん増えてそれぞれが自分たちの持ち味を考えて作っているので、さまざまなタイプのお酒があるのが特徴ではないでしょうか。

　日本酒に関して言うと、地元で消費されるお酒が多いと思います。「地元の人のための味」とでも言いましょうか。 農作業が多く体力を使う仕事をするからなのか、それとも佃煮や塩辛の文化があるからなのか。断定はできませんが、味の濃いお酒が好まれてきた印象です。海のない県なので魚に合わせる新潟のような「淡麗辛口」とは全然違うお酒だと思います。

――日本酒以外のお酒について教えてください。

まずはワインです。信州ワインバレーの一つである天竜川ワインバレーは南信エリアにあります。急斜面があったり標高の高いところに行くと寒暖の差が激しいので、いい農作物ができます。行政の支援も追い風にしながら、南信地方でもマイクロワイナリーが増えています。ブドウの栽培はそれなりに手間がかかりますが皆さん一生懸命やっていて、醸造したワインを色々なところに持って行って宣伝にも力を入れています。最近はブドウだけでなくリンゴを栽培してシードルを作る所も増えました。

　伊那エリアにはクラフトビールも2社あります。「南信州ビール」は長く営んでいて、現在は「これからビールを作ろう」という後進を育てています。地域固有の酒文化を一緒に盛り上げていく思いは共通意識としてあるので、酒蔵さん同士が助け合うこともあると思います。「どこかの酒蔵さんが音頭を取って」というよりは、皆で協力し合っているイメージ。ビールに限定される話ではないかもしれませんが、自分たちの蔵の文化を持ちながら、新しく始めたい人を応援したり助け合ったりして一緒に頑張ろうという思いがあるのだろうだと思います。

　あとはウイスキーですね。老舗の「マルスウイスキー」があります。元々鹿児島で蒸留をスタートしていたのですが、長野で蒸留するためにウイスキー作りを中断していた時期もありました。でもまた復活できてよかったと思います。

お酒を盛り上げるために「新しく始める人を応援したり、助け合う」という素敵な文化に触れました。
自分の好きな南信のお酒はそんな思いで届けられてる、なんて知ったら、ますますお酒がおいしくなりそうです！

【南信エリア②】へ続きます！